英HSBCや米JPモルガンなど3社に独禁法違反の疑い-欧州委が異議告知書
Wednesday, 21 May 2014 14:30
【ブリュッセル5月20日付時事】欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、仏クレディ・アグリコールと英HSBC、米JPモルガンの欧米の銀行3社が、ユーロ建ての金利デリバティブ(金融派生商品)の取引で共謀し、EU競争法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとして、事実関係をただす「異議告知書」を送付したと発表した。
金利デリバティブは、金利の変動リスクをヘッジするために、銀行や企業が利用している金融商品。欧州委は、3社が共謀し、通常の金利デリバティブの価格形成をゆがめたとの懸念を示した。異議告知書は、欧州委が企業を対象に独禁法違反の疑いなどで調査を進めるための正式な手続きの第一歩。
欧州委、英HSBCなど3行に異議告知書 指標金利操作疑惑で
2014年 05月 20日 23:33 JST|Reuters
[ブリュッセル 20日 ロイター] - 欧州委員会は20日、指標金利を不正操作した疑いがあるとして、英HSBC、米JPモルガン、仏クレディ・アグリコルの金融大手3社に異議告知書を送付したと明らかにした。
欧州委は「3社がユーロの金利デリバティブのプライシングを歪めるために共謀したとの疑いを持っている」と説明した。
欧州委はまた、世界最大の金融市場仲介業者である英ICAP(IAP.L: 株価, 企業情報, レポート)にも近く、円建てロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作の疑いで異議告知書を送付すると明らかにした。
2013年12月には同様の金利不正操作で、ドイツ銀行(DBKGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)(RBS.L: 株価, 企業情報, レポート)、シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)など6金融機関に、過去最大となる総額17億ユーロ(23億ドル)の制裁金が科せられた。HSBCとJPモルガン、クレディ・アグリコル、ICAPはいずれも、和解を拒んでいた。
今回、EU反トラスト法を違反したと判断されれば、総収入の最大10%に相当する制裁金が科される可能性がある。
JPモルガンはEUの主張は根拠がないとの見解を示し、クレディ・アグリコルは告知書を精査するとした。HSBCは自社の立場を主張する構えだ。
(転載修了)
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3/14:IBOR不正操作で世界大手16行に訴訟、
当時LIBORを算出していた英銀行協会も訴訟の対象
<< 作成日時 : 2014/03/15 14:41
https://hontougaitiban.seesaa.net/article/201403article_50.html
【2014/2/21より再掲】
転載元:日本や世界や宇宙の動向さんより抜粋
LIBORスキャンダルの真相と金融業界の行方
(概要)
2月20日付け:
2年前にLIBORという言葉がメディアに飛び交いました。問題が発覚するまでLIBORという言葉はあまり語られることはありませんでした。しかしLIBOR問題が金融業界を一変させ、外国為替やデリバティブ市場を規制する可能性があるのです。
LIBOR(ロンドン銀行間貸借取引のレート)は、世界金融システムの健全性に関する全体的なアセスメント或いは実質的指標を示すものであり、特に銀行間の金利を決定づけるものです。LIBORは金融機関、グローバル銀行、そして個人の学生のローンや住宅ローンにまで広範囲に影響を及ぼしています。
LIBORレートは、誰も想像できないほど深刻な影響を与えていたのです。近代史上最大のスキャンダルを分析するには、様々な角度から見ていかなければなりません。
A worker enters the Thomson Reuters building in the Canary Wharf financial district of London
LIBORレートは世界の主要10ヶ国の通貨で算出され、毎日11時30分(GMT)にトムソン・ロイターズによってLIBORレートが公表されています。このレートを基に、約350兆ドルの資金が動くデリバティブやFOREX及びその他の金融商品の取引が行われます。(中略)
LIBORレートを決定する主なプレイヤーは複数のグローバル銀行(ドイツ銀行、シティバンク、バークレイ銀行、UBS AG・・・・FOREXやデリバティブ取引を行う上で世界最大の金融機関)です。
当初、LIBORレートは、3ヶ国の通貨で算出されていました。しかし次第に広範囲のネットワークが出来上がり、今では世界中の金融市場で使われるようになりました。
現在、米ドル、ユーロ、豪ドル、カナダ・ドル、スイス・フラン、デンマーク・クローネ、英ポンド、日本円、ニュージーランド・ドル、スウェーデン・クローナの10ヶ国の通貨で算出されています。
LIBORやLIBORのスキャンダルに関しては、2008年(監査が行われ、実際にスキャンダルが発覚する前)にウォールストリートジャーナルによってLIBORの不正操作が指摘されました。
しかしウォールストリートジャーナルが指摘したのにも関わらず誰も動きませんでした。それどころか、IMFや国際決済銀行などは、ウォールストリートジャーナルの記事を証拠に基づくものではないとして完全に否定し、LIBORの正当性を再確認しました。
しかし、2008年にNYのFRBやイングランド銀行は既にLIBORレートが実際よりも低く設定されている可能性があると言及していました。当時、LIBORを巡って銀行間で小競り合いが起きていたのですが、金融当局はLIBORの不正操作に関して何も明らかにしようとはしませんでした。監査機関がLIBORの不正操作を摘発してから、関与した金融機関の調査が始まったのです。
LIBORレートの不正操作に関与したとされるバンクオブアメリカ、シティグループ、UBS AGに対して、多くの国際監査機関による3年間にわたる(2008年から2011年まで)調査(捜査)が始まりました。
2012年に米司法局はLIBORの不正操作に関して、インサイダー取引がなかったかどうかを調べるために、特に、トレーダーと銀行家間の通信回線(レートを発表する直前の通信)を中心に独自の調査を開始しました。
(中略)
不正操作に関与した銀行や金融機関を調査すればするほど次から次へと問題が噴出してきました。バークレー銀行がLIBORの不正操作の申し子とされ、4億6千万ドルの賠償金を支払うことになりましたが、実際は、LIBORの問題は想像を絶するほど深刻な、史上最大のスキャンダルであったことが明らかになりました。少なくとも10ヶ国の20行以上の銀行が関与していたことが分かったのです。今も疑いのある銀行に対する調査が継続中です。
その後、日本円とスイスフランのLIBORレートの不正操作に関する調査も始まりました。
その結果、バークレー銀行、UBS AG、ドイツ銀行、王立スコットランド銀行、JPモルガン・チェース、シティグループが多額の賠償金を支払うことになりました。カナダの産業省競争政策局は調査を途中で止めてしまいましたが、現在も、疑いのある銀行や金融機関の調査が継続中です。さらに、LIBORの不正操作に関与したとされる多くのトレーダーが解雇されたり自ら辞職しています。
LIBORの不正操作による影響が金融業界の将来に影響を与えることが懸念されます。残念ながら、LIBORに関する調査が進んでも、LIBORの問題を解決する手だてが見つかっていないのです。
(中略)
最も懸念すべき点は、LIBORの不正操作が今後金融市場にどのように影響するかが分からないということです。今後、金融業界に壊滅的なダメージを与えるばかりではなく、巨額の訴訟費用と関与した銀行や金融機関に対する大規模訴訟が差し迫っているのです。
金融カルテル或いは加害者側が行ってきた目に余る不正行為や談合が金融業界のモラルハザードを生み出しています。多額の賠償金を支払わせるだけではこのような犯罪は無くなりません。
LIBORレートの算出に関しては、現在、イギリスのFCA(金融行為監督機構)が監督を任されていますが、同時に、不正操作を取り締まるための法律が作成されました。さらに、デンマーク、スウェーデン、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのLIBORレートが実質上打ち切られました。このような巨大なスキャンダルが発覚した後、規制が強化されましたが、新たな慣例を作り上げることに遅れが生じています。
しかし王立スコットランド銀行はFOREX fixings?を限定することにしました。LIBOR fixingsがいつから始まっていたのかは不明です。このような慣例は既に崩壊したと言う人もいますが、監査機関や監視機関は今後も、この問題が完全に解決するまでは調査し続けることになります。そしてこのような問題が繰り返すことのないよう、新たな慣例を作り上げる必要があります。
(転載終了)
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