3/14:IBOR不正操作で世界大手16行に訴訟、当時LIBORを算出していた英銀行協会も訴訟の対象

2014/03/15 08:49 JST|Reutersより引用

米FDIC、LIBOR不正操作めぐり世界大手16行に訴訟

[ニューヨーク 14日 ロイター] -米連邦預金保険公社(FDIC)は14日、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作に関わったとして、三菱東京UFJ銀行や農林中央金庫NORB.ULのほか、米バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)やドイツ銀行を含む世界の大手銀行16行に対し訴訟を起こした。

訴訟の対象となったのはほかに、英バークレイズ、米シティグループ、クレディ・スイス、英HSBCホールディングズ、米JPモルガン・チェース、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、UBS、ラボバンクRABN.UL、ロイズ・バンキング・グループ、仏ソシエテ・ジェネラル(ソジェン)、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ、ウエストLB。

当時LIBORを算出していた英銀行協会(BBA)も訴訟の対象となっている。

FDICは不正操作が行なわれたことで、米当局が管理下に置いた38行の銀行が多大な損害を被ったとしている。

LIBOR、および欧州銀行間取引金利(EURIBOR)の不正操作をめぐっては、これまでに欧米当局が銀行と証券会社10社に罰金の支払いを命じており、13人の個人が責任を問われている。
(引用終了)

関連過去記事

LIBOR操作問題、英重大不正捜査局が刑事捜査を開始
2012年 07月 7日 12:09 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE86600F20120707

■資料:銀行不正操作問題・2012 主な経済関連の記事まとめ
http://kyouyuukumamoto.p-kit.com/page221523.html



2014/2/21より再掲
転載元:日本や世界や宇宙の動向さんより抜粋
LIBORスキャンダルの真相と金融業界の行方
http://www.forexrazor.com/NewsArticles/tabid/455/ID/556627/language/en-US/The-Truth-Behind-The-Libor-Scandal-And-The-Altering-Of-The-Financial-Landscape.aspx
(概要)
2月20日付け:

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2年前にLIBORという言葉がメディアに飛び交いました。問題が発覚するまでLIBORという言葉はあまり語られることはありませんでした。しかしLIBOR問題が金融業界を一変させ、外国為替やデリバティブ市場を規制する可能性があるのです。

LIBOR(ロンドン銀行間貸借取引のレート)は、世界金融システムの健全性に関する全体的なアセスメント或いは実質的指標を示すものであり、特に銀行間の金利を決定づけるものです。LIBORは金融機関、グローバル銀行、そして個人の学生のローンや住宅ローンにまで広範囲に影響を及ぼしています。

LIBORレートは、誰も想像できないほど深刻な影響を与えていたのです。近代史上最大のスキャンダルを分析するには、様々な角度から見ていかなければなりません。

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A worker enters the Thomson Reuters building in the Canary Wharf financial district of London

LIBORレートは世界の主要10ヶ国の通貨で算出され、毎日11時30分(GMT)にトムソン・ロイターズによってLIBORレートが公表されています。このレートを基に、約350兆ドルの資金が動くデリバティブやFOREX及びその他の金融商品の取引が行われます。(中略)

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LIBORレートを決定する主なプレイヤーは複数のグローバル銀行(ドイツ銀行、シティバンク、バークレイ銀行、UBS AG・・・・FOREXやデリバティブ取引を行う上で世界最大の金融機関)です。
当初、LIBORレートは、3ヶ国の通貨で算出されていました。しかし次第に広範囲のネットワークが出来上がり、今では世界中の金融市場で使われるようになりました。
現在、米ドル、ユーロ、豪ドル、カナダ・ドル、スイス・フラン、デンマーク・クローネ、英ポンド、日本円、ニュージーランド・ドル、スウェーデン・クローナの10ヶ国の通貨で算出されています。

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LIBORやLIBORのスキャンダルに関しては、2008年(監査が行われ、実際にスキャンダルが発覚する前)にウォールストリートジャーナルによってLIBORの不正操作が指摘されました。

しかしウォールストリートジャーナルが指摘したのにも関わらず誰も動きませんでした。それどころか、IMFや国際決済銀行などは、ウォールストリートジャーナルの記事を証拠に基づくものではないとして完全に否定し、LIBORの正当性を再確認しました。

しかし、2008年にNYのFRBやイングランド銀行は既にLIBORレートが実際よりも低く設定されている可能性があると言及していました。当時、LIBORを巡って銀行間で小競り合いが起きていたのですが、金融当局はLIBORの不正操作に関して何も明らかにしようとはしませんでした。監査機関がLIBORの不正操作を摘発してから、関与した金融機関の調査が始まったのです。

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LIBORレートの不正操作に関与したとされるバンクオブアメリカ、シティグループ、UBS AGに対して、多くの国際監査機関による3年間にわたる(2008年から2011年まで)調査(捜査)が始まりました。
2012年に米司法局はLIBORの不正操作に関して、インサイダー取引がなかったかどうかを調べるために、特に、トレーダーと銀行家間の通信回線(レートを発表する直前の通信)を中心に独自の調査を開始しました。

(中略)

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不正操作に関与した銀行や金融機関を調査すればするほど次から次へと問題が噴出してきました。バークレー銀行がLIBORの不正操作の申し子とされ、4億6千万ドルの賠償金を支払うことになりましたが、実際は、LIBORの問題は想像を絶するほど深刻な、史上最大のスキャンダルであったことが明らかになりました。少なくとも10ヶ国の20行以上の銀行が関与していたことが分かったのです。今も疑いのある銀行に対する調査が継続中です。

その後、日本円とスイスフランのLIBORレートの不正操作に関する調査も始まりました。

その結果、バークレー銀行、UBS AG、ドイツ銀行、王立スコットランド銀行、JPモルガン・チェース、シティグループが多額の賠償金を支払うことになりました。カナダの産業省競争政策局は調査を途中で止めてしまいましたが、現在も、疑いのある銀行や金融機関の調査が継続中です。さらに、LIBORの不正操作に関与したとされる多くのトレーダーが解雇されたり自ら辞職しています。

LIBORの不正操作による影響が金融業界の将来に影響を与えることが懸念されます。残念ながら、LIBORに関する調査が進んでも、LIBORの問題を解決する手だてが見つかっていないのです。
(中略)

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最も懸念すべき点は、LIBORの不正操作が今後金融市場にどのように影響するかが分からないということです。今後、金融業界に壊滅的なダメージを与えるばかりではなく、巨額の訴訟費用と関与した銀行や金融機関に対する大規模訴訟が差し迫っているのです。

金融カルテル或いは加害者側が行ってきた目に余る不正行為や談合が金融業界のモラルハザードを生み出しています。多額の賠償金を支払わせるだけではこのような犯罪は無くなりません。

LIBORレートの算出に関しては、現在、イギリスのFCA(金融行為監督機構)が監督を任されていますが、同時に、不正操作を取り締まるための法律が作成されました。さらに、デンマーク、スウェーデン、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのLIBORレートが実質上打ち切られました。このような巨大なスキャンダルが発覚した後、規制が強化されましたが、新たな慣例を作り上げることに遅れが生じています。

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しかし王立スコットランド銀行はFOREX fixings?を限定することにしました。LIBOR fixingsがいつから始まっていたのかは不明です。このような慣例は既に崩壊したと言う人もいますが、監査機関や監視機関は今後も、この問題が完全に解決するまでは調査し続けることになります。そしてこのような問題が繰り返すことのないよう、新たな慣例を作り上げる必要があります。

(転載終了)




THRIVE日本語5/10

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