米、政府機関閉鎖に現実味―閉鎖された場合の影響まとめ(13/09/30報道)

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2013/09/30 Reuters報道より

米下院が暫定予算案を可決、政府機関閉鎖に現実味
2013年 09月 30日 07:50 JST|Reuters

[ワシントン 29日 ロイター] -米下院は29日、医療保険改革法(オバマケア)の1年延期を盛り込んだ2014会計年度(13年10月─14年9月)暫定予算案の再修正案を賛成多数で可決した。

与野党に歩み寄りの兆しが見えないなかで、新年度入りする10月1日から政府機関が一部閉鎖に追い込まれる可能性が高まった。

下院はまた、医療保険改革の資金源となるはずだった医療機器税の撤回も可決。さらに、新年度入り後に政府の資金が不足した場合でも、軍関係者らへの給与支払いを継続するための法案も合わせて可決した。

上院は、下院を通過した暫定予算案について、29日には協議を行わず、30日午後2時(現地時間)から審議を再開する予定。その際には、下院案から医療保険改革法延期に関する条項を削除したうえで、上院で先週可決された予算継続決議(CR)を再び差し戻すと見られる。

議会やホワイトハウスには現在のところ、政府機関の閉鎖回避に向けた妥協の動きは見られず、与野党はただ非難合戦を繰り広げている。

ベイナー下院議長(共和党)は、上院が29日に行動を起こさないことについて「傲慢」と批判。上院民主党の重鎮であるシューマー議員は、下院の戦略は政府機関閉鎖の責任を回避する口実として反撃した。

ベイナー下院議長は今後、上院から差し戻されると見られる予算継続決議を承認するか、政府機関閉鎖を容認するかという、困難な決断を迫られる。政府機関が閉鎖されれば1995年末以来のことととなる。


情報BOX:米政府機関が閉鎖された場合の影響
2013年 09月 30日 12:19 JST|Reuters

[29日 ロイター] - 与野党が予算案で合意できなければ、米政府機関の一部は30日深夜から閉鎖される。安全保障など重要な機能に関する支出やメディケアなど高齢者向け制度への支出は継続されるが、事務や規制を担当する職員、国立公園や美術館の職員など民生部門の連邦政府職員は一時帰休となる。

政府機関が前回閉鎖されたのは1995年12月16日から1996年1月6日で、その際は約80万人の政府職員が一時帰休となった。

以下、政府機関が閉鎖となった場合の予想される影響をまとめた。

<連邦政府職員>

最大100万人の連邦政府職員が10月1日から、無給の一時帰休となる可能性がある。職員の大半が一時帰休となるが、航空管制官や刑務所の看守など一部は、一時帰休の対象外となる見通し。議会スタッフも、雇用主の議員や委員会の要請があれば、職務を続けことができる。

<金融市場への影響>

新規株式公開(IPO)で資金調達を目指す企業は、延期を余儀なくされる可能性がある。企業は米証券取引委員会(SEC)に必要書類を提出することはできるが、SECは27日、政府機関が閉鎖されている期間中は、申請書の処理および承認手続きはできないとしている。

米食品医薬品局(FDA)の決定を待っている企業も、遅れに直面する可能性がある。FDAは「限定的な活動」は続ける、としている。

<政府の請負業者>

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、政府機関が閉鎖されて政府からの支払いが受けられなくても、それが2週間弱で解消するならば、軍事セクターの大手業者ならば対応できる、としている。ただ長引いた場合には、中小は財務的に苦しい状況に追い込まれるという。

<食肉検査官>

食肉検査官は、国家の安全に不可欠と見なされ、職務を継続する。

<軍>

米国防総省によると、軍人は全員、通常どおりの職務を続ける。一方、文官については、その多数が一時帰休の対象となる見通しという。

<連邦裁判所>

連邦裁判所は10営業日ほどは通常どおり業務を執行。それ以降については10月15日までに新たな指針が示されることになっている。

最高裁は、政府機関の閉鎖に伴う対応をめぐって、コメントを拒否した。ただし、過去の同様のケースでは、最高裁は閉鎖されなかった。

<IRS(米内国歳入庁)>

2012年連邦所得税申告書は4月15日が提出期限だったが、延長の手続きをした人は10月15日が期限。IRSでは、政府機関が閉鎖されても、納税申告やそのほかの税金支払いは受け付けるが、監査など多くの活動は停止する見通しで、コールセンターも閉鎖される。IRSは、職員9万人のうちおよそ90%が一時帰休となる、としている。

<医療保険改革法>

医療保険改革法は10月1日からスタートする予定であり、新たな保険の申し込みが開始される。必要な資金の手当ては既についている。

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