引用元:In Deepさんより抜粋
▲ ふたつの高温の斑点が発見されたベテルギウスの最新画像。 Daily Galaxy より
Mysterious Hot Spots Observed In A Cool Red Supergiant Betelgeuse
Ideas, Inventions And Innovations 2013.04.24
赤色超巨星ベテルギウスに謎の高温のスポットが観測される
ベテルギウスの最新の画像
天文学者たちが地球に最も近い赤色超巨星のひとつであるベテルギウスの外側の大気の新しい写真を発表した。
英国のマンチェスター大学にあるジョドレルバンク天文台の e-MERLIN 電波望遠鏡によって撮影されたその新しい写真では、ベテルギウスの大気に驚くほどの高温のガスの領域があることが示されている。
ベテルギウスは非常に明るい恒星で、オリオン座の斜め上の赤い星として、肉眼で簡単に見ることができる。
そのベテルギウスは、私たちの太陽よりも何千倍もの大きさを持つ超巨大な恒星であるが、約 650光年の距離の中で、それは空に小さなドットとして示される。
ジョドレルバンク天文台のロヴェル望遠鏡( Lovell Telescope )と肉眼で見えるベテルギウス
英国王立天文学会が発行するマンスリー・ノーティス・オブ・ザ・ロイヤル・アストロノミカル・ソサイエティ( Monthly Notices of the Royal Astronomical Society )によると、今回 e-MERLIN 電波望遠鏡がとらえたベテルギウスの新しい画像で、この謎の高温の領域はベテルギウスの表面の大きさよりも5倍の範囲まで拡大しており、2つの高温領域(ホットスポット)と、外側の冷たいガスの弧の様子が明らかとなった。
ホットスポットは、ベテルギウスの約半分程度で分離しており、観測では 4,000~ 5,000ケルビン程度の温度を持っており、これはベテルギウスの電離層表面の温度(約 1,200ケルビン)よりもはるかに高く、また、観測できる表面の温度( 3,600ケルビン)よりも高い。
冷たいガスの弧は星から約 74億キロ離れて位置している。 この距離は、太陽系で例えれば、太陽から最も遠い冥王星と太陽の距離程度だ。冷たいガスの弧は約 150ケルビンの温度と質量を有すると推定される。
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(訳者注) ケルビンという単位はわかりにくいですので、
この世のいろいろなものの
ケルビン単位での温度の比較の表を貼っておきます。
上の表では、今回のベテルギウスの高温の領域の温度は、
太陽光よりやや低いくらいのもののようです。
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観測チームのリーダーであるマンチェスター大学のアニータ・リチャーズ( Anita Richards )博士によると、この高温の領域が存在する理由は今のところよくわからないという。
博士は以下のように述べた。
「ひとつの可能性として、ベテルギウスのような脈動変光星(膨張と収縮を繰り返すことにより明るさが変化する星)では、その外側の層での対流によって引き起こされる衝撃波が、圧縮ガスを過熱しているのではないかということも考えられます。他にも理由は考えられますが、現時点では明確な理由は不明です」。
ベテルギウスのような超巨星についてのことは、宇宙の星間物質や、宇宙の物質のサイクルの解明において重要な役割にもかかわらず、超巨星のメカニズムはあまり解明されていない。
ここで紹介するもののような大質量の星の周辺領域の高解像度での観測による詳細な研究は、超巨星の理解の向上に不可欠なものだ。
リチャーズ博士は以下のように付け加えた。
「ベテルギウスは次の世代の星の生成の時代に入っているとみられます。そして、3年ごとに地球の質量に相当する風(磁気の流れ)を生成しています。これらを解明することは恒星天文学の大きな課題のひとつです」。
「そして、今回の写真は、星の中心から高温領域までを示した初めての画像となります。ベテルギウスの電波やマイクロ波の観測を継続することは、そこに豊富に含まれている構成要素が次の恒星の生成のビルディングブロックとしてどのように働くかを知ることになります。そして、ベテルギウスが超新星爆発を起こす前までに、それまでの期間がどのくらいなのかを推測することに役立つ可能性があるかもしれません」。
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ベテルギウスに爆発の兆候? : ベテルギウスの可視面積の5倍に相当する「超巨大な謎の高温の領域」が確認される(In Deepさん全文)
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