2012年 3月 9日 16:05 JST
米財務省がAIG株の60億ドル相当を売却、半分をAIGが買い取る
米財務省が8日の午前中に、保有している米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループの株式を一部売却した。金融危機のさなかに同社を救済してから3年あまりが経過し、政府持ち分も一段と減少した。
http://jp.wsj.com/US/node_405485
デフォルト保険支払い、市場の波乱要因に ギリシャの債務削減で
産経新聞 3月9日(金)20時15分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120309-00000592-san-bus_all
金融市場では、ギリシャの債務削減に伴い支払いが行われる可能性があるデフォルト(債務不履行)に備えた保険商品「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」が、市場の波乱要因になるとの不安が出ている。・・・全文
CDSとは
知恵蔵2011の解説
クレジット・デフォルト・スワップ(Credit default swap)の略称。クレジット・デリバティブの一種で、企業の債務不履行にともなうリスクを対象にした金融派生商品。債務不履行のリスク(Credit risk)に対してのプロテクション(Protection)を商品として売買する。
CDSの契約に基づいて、対象となる企業が破綻し金融債権や社債などの支払いができなくなった場合、CDSの買い手は金利や元本に相当する支払いを受け取るという仕組み。国際スワップデリバティブズ協会(ISDA)によると、世界のCDS市場は2007年末には債務の額面残高62兆ドル規模に達したとされる。
CDSの買い手は一定の契約料を支払うことで、ある企業の債務不履行に対するプロテクションをCDSの売り手から買い取る。債務不履行等が起こった場合の「損害」を軽減するという側面に注目すれば、CDSは「債務保証」と類似の作用を有している。ただし、それはCDSの名目的な形式にすぎず、商品としての本質ではない。
CDSでは、金融の債権・債務とは無関係にリスクのプロテクションだけを切り離して売買する。もし、債務不履行が起これば債権・債務の有無によらず、CDSの契約に基づく支払いがなされる。したがって、CDSの買い手は債権者である必要はなく、売り手も債務の「保証」をしているわけではない。
例えば、直接の貸借関係がない企業に関して、多大な影響が見込まれる者がCDSの買い手となったとする。このケースでは、CDSによりその企業の倒産などによるリスクを軽減することができる。このような意味ではCDSは有効なリスク管理ツールとなりうる。しかしながら、実際上のCDSの取引は、そのようなリスクの有無とは原則的に関係がない。リスクのプロテクションそのものが市場を形成し、無関係の第三者によって自由に売買されるマネーゲームであるということに、その商品としての本質がある。
なお、CDSでは保険業における準備金制度のような支払いの担保は確立されていない。サブプライムローン問題により経営危機に直面した米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は数千億ドルのCDSの売り手である。AIGが破綻すれば金融市場への影響は計り知れないとされ、公的資金の融資によってアメリカ政府の管理下で経営再建がなされることになった。
( 金谷俊秀 ライター )
http://kotobank.jp/word/CDS